“弘法筆を選ばず”といわれます。
一般的には「道具のせいにしたらあかん」という意味に解釈されている諺です。
決して「弘法は自分で筆を選ぶだけの知能がなかった……」という意味ではありません。
その一方で、もしあなたがライトノベル作家を目指して小説の公募によく応募している人なら、私が一次選考を突破できないのはどう考えても道具が悪いという状況もあるかもしれません。
そういう場合は、道具を変えてみる、という発想も必要になってくるでしょう。弘法さんも「俺は選ばんよ」なんて言ってますが、「本当は俺も選べるもんなら選びたかった」と言い遺して壮絶な死を遂げたのではないでしょうか。知らないけど。
Windows PCで日本語を入力する時、大抵の人は無意識のうちに「Microsoft IME」という日本語入力ソフト(以下「IME」)を使っています。
日本語を入力するときは、まずひらがなで入力して、その後に変換キーを叩くことでかな漢字混じりの文章に変換する――というプロセスを踏むわけですが、これらの機能を担当しているのがIMEというやつなのです。
で、このMicrosoft IMEと同じようなソフトに「Google 日本語入力」という無料のがあります。名前の通り、検索エンジンのGoogleが開発してるIMEなんですね。
このIMEの特徴として、「若者の間で流行っている表現も変換できる」とか、「砕けた会話表現も基本的に変換精度が高い(=意図通りに変換できる)」、といったポイントがあり、そういう意味でかなりライトノベル執筆に向いたIMEだともいえます。
そんなGoogle 日本語入力の(特に小説全般の執筆者にとって)さらに便利なポイントのひとつに、「ローマ字テーブルを自由に編集できる」というのがあります。
シンプルに言うと、キーボードでの入力と、実際に出力される文字との対応です。
例えば全角で入力している時に、キーボードで「s→a」と入力したら「さ」が、「t→i」や「c→h→i」と入力したら「ち」が出力されますが、この対応のことです。
これが編集できるのがどう素晴らしいのかというと、編集することによって、よく使う全角記号などが一発で入力できるようになるのです。
設定の所要時間は、はじめてでも五分ぐらい。以下に方法をご紹介します。
まずはインストール。Google 日本語入力の公式サイトからインストーラーファイルをダウンロードし、それをダブルクリックするだけです。
ダウンロードサイズが割と大きいので、回線が遅いとけっこう時間がかかるかもしれません。でも、日本語用のIMEというのはだいたいそういうものです。同じIMEのATOKなどと比べると小さいほうだとも言えます。やれやれ仕方ない。スパゲティでも茹でながら待ちましょう。
なお、Googleのアプリケーションは「Google Update」がインストールされるのでやだ、という人は、「Google日本語入力 GoogleUpdate非同梱版」などで検索するといいかもしれません。
なお、インストール後は一度Windowsを再起動するといいらしいです。
画像はWindows10によるものです。
Google 日本語入力自体はWindows7くらいから対応してるはず。
まず、タスクバーの右側にGoogle 日本語入力のアイコンが表示されていない場合は、アイコンをクリックして出てくるメニューから「Google 日本語入力」を選択して切り替えます。
私はマウスに手を伸ばすのが面倒なので、いつもWinキー+Spaceキーで切り替えてます。
今度はGoogle 日本語入力のアイコンではなくて、文字が書いてある方のアイコンを右クリック。
メニューから「プロパティ」を選択します。
設定ウィンドウが出てくるので、キー設定の「ローマ字テーブル」の「編集…」ボタンをクリック。
ローマ字テーブル設定のウィンドウが出ます。こんな感じ。
「入力」「出力」とか書いてありますね。これはそのまんまの意味で、例えばキーボードで「z」「.」と続けて入力したら、ライトノベル書きの命綱と言っても過言ではない「…」が出力される、という意味です。
今までは「・・・」と入力し、変換キーで「…」に変換していたわけですが、これからは「z.」と入力すればいいわけです。快適ですね。
ちなみに、特に私が重宝している変換テーブルは次のような感じ。
zh で ←
zj で ↓
zk で ↑
zl で →
z. で …
z- で ~
z[ で 『
z] で 』
新しい変換の対応(Google 日本語入力ではエントリーというらしい)を作る場合は、左下の「編集」ボタンをクリックして、「新しいエントリー」を選択。
一番下に新しい行ができるので、自分でそれぞれのマスを入力すればOKです(マスをダブルクリックすると入力できるようになります)。
ちなみに私は「~」はあまり使わないので、代わりに「―」(ダッシュ記号)が出るように設定しています。今まで「だっしゅ」とか「ー(長音)」を変換してダッシュ記号を出してましたが、今では「z-」と入力するだけという便利さに。
私の場合、あまり使わない記号はひらがなで「きごう」と入力して変換キーを押しまくって出しちゃうのですが、「……」とか「――」とかは、普通に文字を入力する感覚で自然に書き進めたいのです。
そういう意味で、この機能はライトノベルにかかわらず物書きにとってはなかなか気の利いた機能だと思います。変換がまだるっこいというのは地味にストレスや疲労になりますからね。
先にも書いた通り、「会話文が変換しやすい」とか「新語やネット用語に強い」とかいう点がピックアップされがちなGoogle 日本語入力ですが、こういう地味なところも気が利いている良ソフトだと思います。
それでは。