日本語ワープロソフト一太郎

小説を書く環境に求められるのは、なんといってもストレスフリーであることです。
ストレスフリーどころか逆に騒音溢れるスタバでシャレオツにキメる人もいるとかいう噂ですし、ストレスの全てが悪いというわけではないはずですが、基本的には望まないストレスからはフリーでいたいものです。

かの文豪・夏目漱石は、原稿用紙は相馬屋のものを愛用していたそうです。翻って我々はコンピューターで小説を上梓しようというわけですが、漱石が原稿用紙にこだわったようにワープロソフトウェアにもこだわろうじゃねえか、というわけなのです。

そういうわけで、今年の3月ぐらいに有名ワープロソフト「一太郎」を試しに使ってみたところ、他のワープロソフトと比較して色々と素晴らしく、現在はメインのワープロソフトに成り上がっています。色んな意味で、小説家向きのワープロソフトだと思います。

この記事では、一太郎のどういう点が小説の執筆に向いていると思ったのかについてまとめてみました。

一太郎のいいところ

一太郎の紹介記事は既にいろいろあるかと思いますが、ここではあえて『電撃小説大賞に応募する小説を書く人』、という恐ろしくニッチな層を想定してご紹介します。
あと、「同じ機能ならこっちが使いやすい」といったポイントは省略します。そういうのは要するに慣れだと思いますし、補助ソフトとか使えばどうとでもできるので……。

ルビや傍点を付けても全く行間が広がらない

人によっては「それがどうした?」と思うであろうところですが、人によっては「やりおった―――!?」と思うかもしれません。
Microsoft Word(以下「Word」)やApache OpenOfficeでルビを振った場合、普通にやると余計な隙間ができてしまいます。この通り。

まあ気になるかは人によりますが私は気になる
まあ気になるかは人によりますが私は気になる

まあ自分しか見ないのならいいのですが、公募に応募する原稿というのは、送られた先でかなりの数のピーポーに見られるわけです。あまつさえ高畑先生が「ねえ、僕ずっと気になってたんだけど……ルビ行が広がったままで応募してくる人ってなんなのかなあ? プロとしてどうなのっていう……ねえ時雨沢くんどう思う?」とか言ってたら怖くね? ということです。

一方の一太郎は、ルビをつけようが傍点をつけようが、行間は広がりません。文句のつけようがないぐらいに行と行の間に収まってくれてます。

一太郎はルビだろうと傍点だろうと行間は広がらない
一太郎はルビだろうと傍点だろうと行間は広がらない

さすがは日本語ワープロソフトと銘打っているだけはあります。

シートという概念がある

Microsoft Excelで、一つのファイル(ブック)に複数の「シート」を持つことができるのはご存知の通りです。
一太郎にもこれと同じように、シート機能があります。

買ってしばらく気づかなかった……。販売元はこんな便利なモンもっとアピールしないと!
買ってしばらく気づかなかった……。販売元はこんな便利なモンもっとアピールしないと!

設定メモ、思いつきのメモ、リマインダ、本文、ふと思いついたかっこいい科白せりふなどをシートに分けて編集し、1つのファイルに収めることができます。シンプルに管理できるようになりますね。
長編小説の場合は、1シートごとに1章を書く、という使い方もできるでしょう。

またこのシート、タブで切り替えられるだけでなく、下の図のように必要なシートだけ横に並べて表示することもできます。

必要なシートだけ横に並べることもできる
必要なシートだけ横に並べることもできる

私の場合は、デスクトップパソコンの画面がそれなりに広いので、設定メモと本文の2シートを横に並べて作業したりします。設定メモを見ながら本文を書いたり、逆に本文を書きつつ思いついたことをメモしたり、ということが手軽にできるわけです。

目標ページ数や現在の文字数を表示できる

現在までに書いた文字数のチェックはWordでも可能ですが、一太郎はそれだけでなく、目標ページ数にあとどれぐらいで到達するかをプログレスバー的な感じに表示してくれる機能がついています。こんな感じ。

42文字×34行で計算するように設定してある
42文字×34行で計算するように設定してある

書けば書くほど、じわりじわりと右方に伸びていくバー。
100%に達するとある変化が起こります。どうなってしまうかは試してみてからのお楽しみ。

最初から目標値を応募規定枚数である80~130枚にしてもいいですが、まずは適当な枚数を設定して達成感を味わってみるのもいいかもしれません。

(良くも悪くも)有名なIME「ATOK」が同梱されている

ATOKは、一太郎と同じくジャストシステムが開発している日本語入力のためのソフトウェアです。
変換精度が高いことで有名なのですが、その一方「こびと→小人」などの「差別用語と言えなくもないレベルの一般的語彙」の変換もできない(変換辞書に載ってない)、という、小説を書くにおいては致命的な難点があります。辞書を追加すればこういった単語も変換できるようになりますが、やや手間がかかる作業だと思います。

個人的には、慣用句などの誤用を指摘してくれる機能は便利だと思います(例えば「白羽の矢が当たる」を「白羽の矢が立つ」の誤用だと指摘してくれる、など)。電撃小説大賞の場合、このような誤用は少しであれば目をつむってくれるとかいう噂ですが、正しい日本語を使うのもそれなりの教養が要ると言われているとかいないとかいう話なので、「ひとつも誤用がなかった」場合には、もしかしたらプラス評価が与えられるかもしれません。

まあせっかく付いてくるものですし、まずは試してみてはいかがでしょう。

3台までインストール可能(Wordは2台)

Wordは同時に2台までしかインストールできませんが、一太郎は3台にインストールすることができます。

たかが1台の差じゃねえか……と思った人は甘いです。3台インストールすることができたら、1つをメインマシンに、1つをサブマシンにインストールし、最後の1つを職場のマシンにインストールすることさえ可能になるじゃないですか!

作家への近道はたった1つ、それは毎日の積み重ねです。繁しい時期になると家に帰れない夜もあるかもしれません。家に帰れないからといって自分のキャリアの為の鍛錬を怠るような、そんな人生に対する不真面目な態度をあんたは許すというのか、あんたは自分の部下がそんなんでいいのか――インストールしてるのを上司に見つかりなじられたりしたら、両眼を尋常でないレベルで光らせてそう熱く熱く訴えればいいでしょう。

「プライベートにまでWord使いたくない」というOLさんにおすすめ

職場でもWord。自宅でもWord。WordWordWord。
そんなことしていたら24時間Wordと向かい合うWord娘になってしまい、もはやWordなしでは生きられない体になってしまいます。これでは彼氏を家に呼んでも「こいつ家でもWord使ってる……俺なんかよりWordの方が気持ちいいんじゃ……」と猜疑さいぎ心を誘発してしまい、破局の原因になるかもしれません。そのままWordにドハマリして婚期を逃し、「私がモテないのはどう考えてもWordが悪い」などと考えてしまったが最後、一度きりの人生を棒に振ることになるでしょう。プライベートぐらいは脱Wordして、一太郎と向い合ってみる必要があるのではないでしょうか。

というか、実際のところ私が一太郎に決めた最大の理由はこれです。職場で使っているソフトウェアをプライベートでまで使いたくないということで……。

ところで一太郎はWordより少し安い

余談ですが、一太郎はWordよりも、数千円くらい安く買えます。

「Word 2013」「Word 2016」と「一太郎2015」を通常版とアカデミック版で価格比較してみましょう。
2015年10月6日現在の価格.comで調べたものになります。ただしWord 2016に関しては価格.comにまだ載っていないようなので、Amazon調べです。

1位/Word 2013: 11,981円(アカデミック版:8,345円)
2位/Word 2016: 14,526円(アカデミック版:不明)
3位/一太郎2015: 15,726円(アカデミック版:6,654円)

なんということでしょう、我らが一太郎は一番お高くなってしまいました。アカデミックでない人の場合は、Word 2013が最も安いように見えますね。
しかし、実は一太郎には、通常版とアカデミック版の他に、「特別優待版」というパッケージがあります。

一太郎の特別優待版とは?

一太郎の特別優待版というのは、「他のジャストシステム製品・Microsoft Office・Wordのうちどれかを持っていれば購入できる」というディスカウント版パッケージです。その価格、15,726円から一気に7,872円とほぼ半額です。中身は通常版と全く同じなのに。

しかもこの特別優待版、Wordを持っている、という証明をする必要が。私はOffice XPを持っていたので、意気揚々と購入したのですが、Wordのシリアルナンバーなどの入力を求められることはありませんでした。どういうことなのでしょう。もしかしたら「Word……持ってたかも……持ってないかも……持ってたと思うんだけどな……あ、前世とかで持ってたかもしれないな」というレベルで購入しても大丈夫だったのかもしれません。

というわけで、実質的な価格ランキングは以下の通り。

1位/一太郎2015: 7,872円
2位/Word 2013: 11,981円
3位/Word 2016: 14,526円

あえて頑張ってほしいポイントも挙げてみる

現状でもかなり満足しているわけですが、個人的に注文をつけるとすれば、明朝体をもうちょっと綺麗に表示してほしい、といった希望はあります。これは決して一太郎だけでなくWordも同じなのですが、ここが進化すれば言うことないのにな、という感じです。
私はテキストファイルの編集はエディター「Mery」を使っていますが、このDirectWriteによる文字に慣れてしまうとどうしても違和感あるんですよね……。

くっきり見える、と言えなくもないけど……
くっきり見える、と言えなくもないけど……

まとめ

というわけで、一太郎のナイスガイだと思うポイントを挙げてみました。これであなたも今日から一太郎女子。
無料お試し期間は30日あるので、のんびり試してみてはいかがでしょう。

私もまだ勉強中の部分があるので、色々なTipsや気づいた点についてはこのブログでも記事にしていこうかなと思っています。自分用のメモも兼ねて。

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