どれくらい違うのかというと、ラジコンと大根くらいの違いはあります。なので、Crevice 4をインストールしたそのままの状態では動きません。
新Edgeにも対応させるには、default.csx
のvar Browser
の定義部分に下線部分を追加します。
未編集の場合、43行目あたりにあります。
// Gestures for standard browsers.
var Browser = When(ctx =>
{
return ctx.ForegroundWindow.ModuleName == "chrome.exe" ||
(ctx.ForegroundWindow.ModuleName == "msedge.exe" && ctx.PointedWindow.ClassName == "Chrome_RenderWidgetHostHWND") ||
ctx.ForegroundWindow.ModuleName == "firefox.exe" ||
// Firefox's ModuleName may be different from normal one, it will start with
//`moz` and the extension is `tmp` ( e.g. `mozD4E5.tmp`).
(ctx.ForegroundWindow.ModuleName.StartsWith("moz") &&
ctx.ForegroundWindow.ClassName == "MozillaWindowClass") ||
ctx.ForegroundWindow.ModuleName == "opera.exe" ||
ctx.ForegroundWindow.ModuleName == "iexplore.exe" ||
(ctx.ForegroundWindow.ModuleName == "ApplicationFrameHost.exe" &&
ctx.PointedWindow.Text == "Microsoft Edge") ||
(ctx.ForegroundWindow.ModuleName == "explorer.exe" &&
ctx.PointedWindow.ClassName == "DirectUIHWND");
});
default.csx
は、Crevice 4のトレイアイコンを右クリックして出てくるメニューから「Open UserScript」を選択すると表示されるフォルダーの中にあります。テキストエディターで開いて編集しましょう。最新のWindows 10ならメモ帳でもOKです。
ただしこの対応方法では、「右クリックメニューが出せない」という問題があるようです(2020年7月3日現在、バージョン4.17.430)。どうしても出したいときは、1.5秒くらい右ボタンを押しっぱなしにしてから離すと出ます。
1.5秒(内部の設定的には1秒)というのはタイムアウトする時間なのですが、長くて待てない場合は、例えばファイルの最後あたりに
Config.Core.GestureTimeout = 500;
という行を追加すれば、タイムアウトを0.5秒にできます。(ただしあんまり短くするとロッカージェスチャーとかがやりにくい。)
なお、タブバーの上ではどうやっても出すことができないようです。うーん、これでは愛用の「右のタブを閉じる」が使えない……。 追記(2020/07/03): とりあえずタブバー上では右クリックメニューが出るように修正しました。
もっと別のスクリプトの書き方をする必要があるのか、それともCrevice 4側での何らかの対応が必要なのかはわかりません。まあいずれにしても、Crevice 4は今のところデフォルトで著名なブラウザーには対応する方針のようなので、次回バージョンアップ時には何らかの対応がなされるのかもしれません(などと軽々しく言ってみる)。
Microsoft EdgeがChromiumを採用する、と聞いた時の(あ、なりふり構わず本気出してきやがった)感はかなりのものでした。ビジネス的判断とはいえ、Internet Explorer3とか4の頃から11まで、そしてそれをフォークしたEdgeHTMLに至るまでずっと自前でコード書いて作ってたわけで、これをやめるというのはそうそうできることではなく、これはおそらくアフターグーグルに備えて今は善良な貢献者の顔を……いえ、なんでもありません。
しかしそれが功を奏し、ひとまず実際にFirefoxのシェアを早々に抜いたということで、やはりユーザーはブラウザーなら何でもいい、というわけではなく、ちゃんと判断して使ってるんだなあと思った次第です。個人的にはEdgeの何をモチーフにしているのかわかるようなわからないような微妙なデザインの新しいアイコンもGoogle色のアイコンよりかは何倍も好きです。
今後はWindows 10にプリインストールされてくるでしょうし、今までなんとなくGoogle Chromeを使っていたライトユーザーが実際に使ってみて「別にEdgeでもいいじゃん、乗り換えよう」みたいな流れでシェアを獲得していくんでしょうね。ライトユーザーだけでなく、ヘビーユーザーもガチ検証を経て環境の簡素化のために乗り換える、企業の管理者も馴染みのあるMicrosoftで統一できるという点で嬉しいので乗り換える……という、マイクロソフトにとってはいい流れが生まれるかもしれません。
そんなマイクロソフトアゲアゲな雰囲気の中、翻って我らがMozilla Firefoxは、シェアの獲得に本気を出すよりもウェブの未来を守ることに本気を出すことにしたようです。もはやシェアでブラウザーの価値を認めてもらおうとかいう、旧時代の発想はMozillaには存在しません。
「じゃあ最初からそういうスタンスにしておけばよかったのでは?」などとつまらないツッコミを入れるのは野暮というものです。人間誰しも「苦しんで辿り着く境地」というのがあります。そう、悟りです。我々Firefoxユーザーは何でもありのカスタマイザブルXULブラウザーの時代を超え、Firefox OSという邯鄲の夢から醒め、全てを削ぎ落して光の速さを手にしたQuantumの時代も超え、ついに無の境地、悟りの境地に至ったのです。そこはもはやウェブブラウザーという形而下の概念すら存在せず、全ての虚飾が剥ぎ取られた光の楽園。それこそが『ウェブの未来』――。
個人的にはそんなジョークを愛着を持って書きたくなるくらいにはMozillaを応援しているわけですが、私はどっちかというとただ単純に「Google Chromeより行儀がよく、その割に遜色がないレベルに高速で、アイコンもマシで、開発者ツールが使いやすい」という理由でFirefoxを使っている一ユーザーに過ぎず、シェアを微増させること以外にできることは残念ながらありません。
しかしFirefox愛好者としては、世界中のウェブサービスが「Microsoft EdgeかGoogle Chromeをお使いください」などとアラートを出し始めても、存在し続けてほしいなあと思っているのです。
「Firefoxでは開発者ツールが日本語化されており、Chromeではされていない」という現状も、Mozillaという非営利団体が存在する意義を端的に表しているような気もするのです。どうだろう。